介護・障害福祉事業を始めるための法人設立ガイド

法人形態・定款・指定申請まで解説

「介護事業を始めたい」「障害福祉サービスで独立したい」と考えたとき、多くの創業者が最初に考えるのが「会社を作らなければならない」ということです。

もちろん、法人設立は重要なスタート地点です。しかし、介護・障害福祉事業の場合、法人を作ればすぐに事業を始められるわけではありません。

サービスの種類に応じた指定申請が必要となり、人員・設備・運営に関する基準への対応、事業所の確保、資金調達、職員採用、就業規則や社会保険などの労務管理まで、開業前から準備しておくべきことが数多くあります。

特に注意したいのが、「法人を先に作って、あとから介護・障害福祉事業に合わせればよい」と考えてしまうことです。
法人の形態や定款の事業目的、役員構成、所在地、資本金などは、その後の指定申請や金融機関からの資金調達、採用・労務管理にも関係します。

そのため、介護・障害福祉事業の法人設立は、単なる会社設立手続きとしてではなく、「指定を受けて、実際に事業を運営するところまで逆算して設計する」ことが重要です。

ニア・コンサルティングでは、これから介護・障害福祉事業を始める創業者・経営者に向けて、法人形態の選択、定款・事業目的、指定申請、資金調達、労務管理までを一つの流れとして法人設立を支援しています。

会社設立・法人設立
行政書士

介護事業・障害福祉事業における法人設立の重要性

介護事業・障害福祉事業では、事業の種類によって指定・許可等の要件が定められており、法人格、事業目的、事業所の設備、人員配置などを総合的に確認する必要があります。

障害福祉サービスについては、障害者総合支援法に基づき、サービスの種類と事業所ごとに指定を受ける仕組みになっています。さらに、指定事業者には人員・設備・運営に関する基準が求められます。

介護事業や障害福祉事業をスタートする際、最初に着手すべきなのは法人設立です。

なぜなら、介護保険法や障害者総合支援法に基づく事業者の「指定(許可)」を受けるための必須要件として、「法人格を有すること」が法律で定められているからです。個人事業主のままでは指定申請を行うことすらできません。

この法人設立は単なる形式的な手続きではなく、事業の信頼性と許認可の土台となります。

コンプライアンス(法令順守)が厳しく求められる福祉分野において、法人の設立は行政機関や利用者のご家族、採用応募者に対する信用担保の第一歩です。また、税制面での優遇や金融機関からの資金調達においても、法人化が大きなアドバンテージとなります。

法人設立だけでは介護事業・障害福祉事業は始められない

ここで押さえておきたいのが、法人設立はあくまで「スタートライン」に立つための手続きであるという点です。法人を設立しただけでは、介護・障害福祉サービスを提供することはできません。

サービスを提供するには、法人設立後に都道府県・市区町村へ「指定申請」を行い、人員基準・設備基準・運営基準といった基準を満たしていることを認めてもらう必要があります。

この基準は事業所の種類ごとに細かく定められており、人員配置や事業所の設備、運営規程の整備など、確認すべき項目は多岐にわたります。

つまり、介護・障害福祉事業の開業は「法人設立」と「指定申請」という2つの大きなステップを経て、ようやく実現するものなのです。

法人設立と指定申請は、別々の手続きに見えて、実際には密接に関係しています。
定款の事業目的が指定申請の要件と合っていなければ、申請自体ができません。また、指定申請には開業予定日から逆算したスケジュール管理が必要で、法人設立の登記が完了していなければ申請書類自体を提出できないケースもあります。

そのため、「まず法人を設立して、それから指定申請のことを考えよう」という進め方は、非効率であるだけでなく、手戻りのリスクも高くなります。理想的には、法人設立の段階から指定申請を見据えて、事業目的・役員構成・資金計画などを一体的に設計しておくことが望ましいといえます。

例えば合同会社は、定款作成から出資、設立登記という手続きを経て成立します。合同会社の定款には「目的」「商号」「本店所在地」などの事項を記載する必要があります。
また、一般社団法人についても、定款の作成・認証、役員の選任、設立登記などのいくつもの手続きが必要です。
法人形態によって、手続きの手間や設立コストが異なります。

ただし、「一番安く設立できる法人を選べばよい」という考え方はおすすめできません。

将来的な事業展開、融資、採用、複数事業所の展開、他の介護・障害福祉サービスへの参入などまで考えて選ぶ必要があります。また、サービスによって必要な法人要件や指定基準が異なる場合があるため、法人形態を決める前に指定権者へ確認することも重要です。

介護事業・障害福祉事業で選べる法人形態

介護・障害福祉事業を始める際には、事業内容や指定権者の要件を確認したうえで法人形態を検討します。
代表的なものとして、次のような法人があります。

法人格主な特徴創業時の検討ポイント
株式会社一般的な営利法人認知度が高い。資金調達・事業拡大を考えやすい。
合同会社比較的シンプルな会社形態小規模でのスタートと相性がよい。設立費用が低く抑えられる。
一般社団法人非営利型を含む社団法人非営利性をアピールしやすい。事業目的や組織の考え方を明確にする必要がある。
NPO法人特定非営利活動を行う法人設立・運営に一定のルールがある。設立までに時間がかかる。
社会福祉法人社会福祉事業を担う法人設立・運営に厳格な要件がある。設立までに時間がかかる。

介護・障害福祉事業の法人設立でよくある失敗

法人設立で特に注意したいのが、定款の「事業目的」です。

法人設立の際に作成する定款には「事業目的」を記載します。この事業目的の書き方が曖昧だったり、実際に行いたい介護・障害福祉サービスと整合していなかったりすると、指定申請の段階で「定款の目的にサービス内容が含まれていない」という理由で申請を受け付けてもらえないことがあります。

自治体ごとに指定申請時に求める事業目的の文言(例:「介護保険法に基づく訪問介護事業」など)が厳密に定められているためです。不適切な表現で登記してしまうと、指定申請を受け付けてもらえず、定款変更と変更登記のやり直し(余分な費用と手間の発生)を余儀なくされます。

また、将来的に訪問介護だけでなく通所介護や居宅介護支援へと事業を広げたいと考えている場合は、設立時点でその展望も見据えた事業目的を記載しておく必要があります。後から目的を追加する場合は、定款変更や登記変更の手続きが必要になり、余計な時間とコストがかかってしまいます。

将来的にどのサービスへ展開する可能性があるのかを考えたうえで、事業目的を設計することが重要です。
ただし、将来やるかもしれない事業を無制限に盛り込めばよいわけではありません。

現在の事業、近い将来に展開する事業、法人として本当に行う可能性のある事業を整理することが大切です。

開業希望日から逆算する「法人設立ロードマップ」

介護事業・障害福祉事業の開業までには、おおまかに次のようなステップがあります。

  1. 事業計画・資金計画の策定
  2. 法人形態の選定、定款の作成
  3. 法人設立登記
  4. 指定申請に向けた人員・設備・運営体制の準備
  5. 指定申請書類の作成・提出
  6. 指定(許可)の取得、開業

指定申請には自治体ごとに定められた受付期間や審査期間があり、申請から指定までに一定の期間を要するのが一般的です。「この日から事業を始めたい」という開業希望日がある場合は、そこから逆算して、法人設立や書類準備のスケジュールを組み立てる必要があります。

このスケジュール管理を一人で行うのは負担が大きいため、早い段階から専門家と一緒にロードマップを描いておくことをおすすめします。

専門家へ相談したほうが良いケース

「法人設立くらいなら自分でできるのでは?」
そう考える創業者も少なくありません。

実際、法人設立に関する情報やオンライン手続き環境は整備されており、自分で進めること自体は可能です。
しかし、介護・障害福祉事業の場合、問題は「法人を設立できるかどうか」ではなく、「適切な法人を設立できるか」です。

例えば、事業を開始するにあたってさまざまな問題が発生します。

「この法人形態で問題ないか?」
「事業目的は指定申請に対応できるか?」
「この物件で事業所を開設できるか?」
「必要な人員をいつまでに確保すればよいか?」
「開業までの資金は足りるか?」
「職員を採用した後の労務管理はどうするか?」

これらを一人で調べながら進めると、法人設立そのものよりも、制度の確認と各手続きの調整に多くの時間を取られることがあります。

一つひとつ独学で調べながら進めることは不可能ではありませんが、時間と労力がかかるうえに、後から「やり直し」が発生するリスクも伴います。専門家に依頼することで、こうした手戻りを防ぎ、開業までの時間を短縮できる点は大きなメリットといえるでしょう。

次のようなご不安がある方は、法人設立の手続きに着手する前に、行政書士・社会保険労務士へ相談することをおすすめします。

  • これから介護事業・障害福祉事業で起業したいが、何から始めればよいか分からない方
  • 法人形態や定款の内容について、指定申請への影響が不安な方
  • 開業希望日が決まっており、逆算したスケジュールを立てたい方
  • 法人設立だけでなく、指定申請や開業後の労務管理まで一括して相談したい方
  • 指定申請や定款作成の手続きに不安がある方
  • 開業希望日が決まっており、スケジュールの遅延を絶対に避けたい方
  • 指定申請だけでなく、開業後の労務管理や加算取得まで見据えて準備したい方
  • 金融機関から融資を受けたい

特におすすめしたいのは、「法人設立の手続きを始めてから相談する」のではなく、「法人設立前に相談する」ことです。

法人を設立した後では、定款や事業目的などを変更するために追加の手続きが必要になることがあります。

行政書士と社会保険労務士には、どこまで相談できる?

介護事業・障害福祉事業の開業支援では、行政書士と社会保険労務士がそれぞれ異なる専門分野でサポートします。

  • 行政書士:定款作成、法人設立サポート、指定申請書類の作成・提出代行など、法人設立から指定申請までの手続き全般
    • 障害者福祉事業指定申請
    • 各種行政手続き
    • 事業所の開設に関する書類
    • 運営規程等の作成支援
    • 法人設立に関する手続支援
  • 社会保険労務士:就業規則の作成、社会保険・労働保険の手続き、人員基準を満たすための労務管理体制の構築など、開業後の運営を見据えた労務面のサポート
    • 介護事業指定申請
    • 労働保険手続
    • 社会保険手続
    • 就業規則、賃金規程等諸規程
    • 労働契約、労働条件に関する書類作成
    • 職場のルールづくり、労務管理体制構築

両者が連携することで、「法人設立→指定申請→開業後の運営管理」という一連の流れを、途切れることなくサポートしてもらうことができます。開業準備の初期段階からこの2つの専門家に相談しておくことで、手続きの抜け漏れを防ぎ、開業後の運営もスムーズに進めやすくなります。

介護事業・障害福祉事業の開業では、行政書士と社会保険労務士の専門分野を使い分けると、準備を効率化しやすくなります。

私たちの法人設立支援

法人設立の手続は行政書士などの専門家が代わって書類作成等を行うことがありますが、私たちの支援は次の特徴があります。

設立後の運営を意識した支援

設立手続では、事業目的が重要になります。例えば、事業運営にあたって許認可が必要な事業を行う場合、事業目的に許認可に関する目的が含まれている必要があります。事業目的が適切でない場合、許認可が受けられないこともあります。
また、事業年度の考え方や役員の人数、出資金の額など様々な検討をしなければなりません。
ニア・コンサルティングでは、設立後の運営が順調に進むよう、設立前から多角的な視点で設立支援を行っています。

事業計画の相談が可能

経営コンサルタント(中小企業診断士)が事業計画策定の支援をすることができます。
創業と同時に法人を設立する場合や、個人事業から法人化するにあたって、経営計画や事業計画の策定が必要となるケースがございます。例えば、金融機関から資金調達する際には創業計画や事業計画が求められます。
事業計画は経営者であるみなさまが策定するものですが、ニア・コンサルティングでは、その策定した内容についてアドバイスを行っています。

活用可能性のある補助金・助成金の紹介

法人を設立し、新たな取り組みをすることで受けられる補助金・助成金を紹介しています。
補助金・助成金は、法人を設立することをもってもらえるものではありませんが、新たな取り組みに対し国や自治体の支援が受けられることがあります。
ニア・コンサルティングでは、多くの補助金・助成金の獲得実績があります。補助金・助成金には様々な要件がありますが、それらを分析し、新たに会社・法人を設立されるみなさまにご活用いただいています。

ご依頼の流れ

ご依頼いただく場合の一般的な流れをご紹介いたします。

お問合せ・ご相談
お問合せ・ご相談「お問合せ・ご相談」ページ、またはお電話でお問合せください。日程調整の上、初回面談をいたします。
初回面談においては、これからの事業展開などを確認するとともに、設立手続について説明いたします。
お問合せ・初回相談
御見積提示・ご契約
御見積提示・ご契約初回面談の結果を受け、弊社の報酬基準をもとに正式な御見積書を提出いたします。
初回面談の内容と合わせて御見積書および弊社の支援内容をご理解いただいた上で、ご契約いただきます。
※なお、ご契約前においていつでもお断りいただいて結構です。売込行為は一切いたしません。また、ご契約前の段階において報酬(料金)は発生いたしません。
ご契約
手続着手・申請等
手続着手・申請等手続に必要な書類をご準備いただきます。
それらをもとに、必要な書類の作成、設立手続き等を弊社が代わって対応します。
書類作成

料金(報酬)

会社・法人設立の料金(報酬)の目安です。( )は消費税込み。

株式会社合同会社一般社団法人NPO法人
80,000円
(88,000円)
60,000円
(66,000円)
120,000円
(132,000円)
200,000円
(220,000円)

※上記のほか、法定費用等がかかります。それらについては別途ご負担いただきます。法定費用については法人ごとに異なるため初回面談の際に説明いたします。

よくあるご質問

法人設立と指定申請は、どちらを先に行えばよいですか?

一般的には法人を設立したうえで指定申請を進めることになりますが、重要なのは法人設立前から指定申請を見据えて準備することです。

指定基準を確認せずに法人を先に作ると、後から定款や事業目的、事業所などの見直しが必要になる可能性があります。

株式会社と合同会社では、どちらが介護事業に向いていますか?

一概には決められません。

小規模でスタートするのか、将来的に複数事業所を展開するのか、融資や採用をどう考えるのかなどによって適した法人形態は変わります。

法人設立から指定申請まで、すべて自分でできますか?

制度上、自分で手続きを進められるものもあります。

ただし、介護・障害福祉事業では、法人設立、定款、事業目的、物件、人員、設備、指定申請、労務管理などが相互に関係します。

そのため、手続きの一部だけを見るのではなく、開業までの全体像を専門家と確認してから進めることをおすすめします。

法人設立をお願いする場合、自社で行わなければならないことはどのようなことがありますか?

弊社では、みなさまから必要な情報をお聞きし書類の作成を行います。

みなさまには印鑑証明書や法人の代表者印をご準備いただくこととなります。
必要な書類等については、法人の種類ごとに異なるため、初回ご相談の際に説明いたしております。

一度相談したいのですが、相談料はかかりますか?

弊社へのご依頼の有無にかかわらず、初回相談は無料で対応いたしております。
お問合せ・ご相談」またはお電話で、初回相談を希望する旨お伝えください。

最終更新日:2026/9/1